春も嵐も

親父は少し息を吐くと、
「手紙はこなかったけど、わかってくれたんだろうなと思った。

俺のところにくるようにと言ったのがその証拠だ。

初めてお前の顔を見た時、お前の母さんによく似ていたからすぐにわかった。

あの時の赤ん坊だ、と。

父親でもない俺が言うのも何だか変だとは思う。

とりあえずは嵐、お前に礼が言いたい」

休むように、親父は少し黙った。

「――生まれてきてくれてありがとう」

ガラッ

その言葉に、俺はふすまを開けた。

目の前には親父と泣いている弥生が立っていた。

かすかにだけど、親父の目も潤んでいた。