ペンダントの裏に書いてあるものは、イニシャルだった。

「H.Mって、お父さんのイニシャルじゃないの」

彼女が呟いた。

「それ、おふくろが大事にしていたペンダントなんですよ。

“お父さんがプレゼントしてくれた大事なペンダント”だって、おふくろはいつも語ってた。

これでも知らないって言うんですか!?」

増田寛はふうっとため息をつくと、俺にペンダントを返した。

「とりあえず、事情はわかった。

察するに、君はお母さんを亡くしたから遺言書に書いてある俺のところにきた。

そう言うことだな?」

そう言った彼に、
「はい、そうっす!」

俺は首を縦に振ってうなずいた。