「とにかくこんなデタラメ、お父さん信じなくてもいいよ!」

「おい、何を言ってるんだよ」

「だいたいお父さんがよそで愛人を作る訳ないでしょ!?

それこそおかしいわ!」

「けど、こっちにだってちゃんとした証拠があるんだよ!」

俺はシャツの下のそれを外すと、増田寛の前に突き出した。

海のような深い青のペンダントである。

彼は俺の手からそれを受け取った。

「裏を見てみろ」

彼は持っているペンダントを裏にした。

見た瞬間、彼は大きく目を見開いた。

父親の様子に、彼女も手の中のペンダントを覗き込んだ。

「何よ、これ…!?」

それを見た瞬間、彼女は声をあげた。