「遺言書は全部おふくろの筆跡だよ!

弁護士に何度も見てもらったんだから」

「『あなたのお父さんは生きています。

私と嵐を捨てたお父さんの名前、増田寛。

『野ばら商店街』と言う街で、『居酒屋ますだ』と言うお店で働いています。

私が亡くなったら、彼のところに身を寄せてください』

…って、何よこのデタラメ!?」

彼女は遺言書を読み終えると、それを俺に向かって投げつけた。

うわっ、乱暴だな。

顔は100点だけど、性格は0点だな。

「デタラメって、ひでーな。

ちゃんとした遺言書だろうが」

投げられた遺言書をたたみながら、俺は彼女に言い返した。