うっかりしたら聞き逃してしまいそうなくらいの小さな声だった。

ウソでもなければ、夢でもない。

ここで起こっていることは、全部本当のことなんだ。

「――俺も…」

俺は言った。

「俺も…姉貴なのに、弥生に恋をしてた」

弥生が驚いた顔をする。

「ホント…?」

呟くように言った弥生の言葉に、俺は首を縦に振ってうなずいた。

「バカなもんだな、俺たちって。

姉弟かも知れないのにな」

「ホント、バカね。

あたしたちって、ダメな姉弟ね」

「違うかも知れないのに?」

「どっちよ」

弥生が笑ったので、つられるように俺も笑った。