「まーたきたんだ」

弥生は迷惑そうな顔をしていた。

「そうみたい」

けど、俺の方が迷惑である。

「いらっしゃーい!」

なれたように、藤見椎葉はお客さんにあいさつをしていた。

あれから1週間。

すっかりなじんでしまっている藤見椎葉に、俺はどうすることもできなかった。

だって…俺、藤見椎葉に恋されたらしいんだぜ?

これをどうするって言うんだよ?

迷惑な話じゃんか。

「俺、派手な令嬢ってタイプじゃねーんだよ」

「うん、知ってる」

『居酒屋ますだ』の顔になってしまってる藤見椎葉に、俺たちはそろってため息をついた。