もしかして…この人が彼女の父親でもあり、俺の探している人なのか?

心臓がドキドキと早鐘を打ち始める。

と言うか、今のは何気に小説の一説っぽくないか?

いや、今はそんなことを言ってる場合じゃない。

「お父さん、お父さんに用事のある人がきてる」

弥生が男に声をかけると、男は新聞から顔をあげた。

わおっ、超ダンディーじゃねーか!?

居酒屋のオヤジと言えば、何つーかガテン系のヤツが多いだろうななんて思ってたけど…この瞬間に俺のイメージは引っくり返った。

マジでダンディーじゃん!

熟年ながらの男らしさが出てる。

男の中の男の、粋なヤツだ。

うんうんと1人で首を縦に振ってうなずいている俺に、
「何の用なんだ?」
と、男が聞いてきた。