春も嵐も

ややためらいながら、弥生は美波さんと肩を並べて歩いていた。

2人のその背中を見ながら、俺はその後ろを歩いていた。

何気に俺はSPじゃねーか?

そう思いながら、俺は歩いた。

「ねえ、今年もおじさんが太鼓をたたくんでしょ?」

美波さんが弥生に話しかけた。

「うん、そうだよ。

お父さん、今年もすごく張り切ってた」

ふーん…親父、太鼓をたたくんだ。

俺も太鼓たたいてみてーな。

学生時代に組んでいたバンドではギター兼コーラスだったけど、たまに代役としてドラムをたたいていたので腕には自信ありだ。