春も嵐も

「あたしに聞かれたくないことなの?」

そりゃ、そうだろ。

お前が聞いたら、絶対に泣くだろ。

ヘタをしたら、ショックで死ぬだろ。

「あたし、そんなんじゃないよ?」

「はっ?」

何がそんなんじゃないんだよ。

「嵐が思っているようなヤツじゃないってことだよ。

簡単に泣きやしないし、死にやしないよ。

それ以前に、あたしのことを信じてないの?」

根をあげた。

そこまで言われたら、根をあげるしか他がない。

「あのさ…」

俺は全てを話した。

杉里さんに会ったことと杉里さんと交わした会話の内容を、全て弥生に打ち明けた。