春も嵐も

「何が?」

動揺していることを隠したいから、俺は弥生に聞き返した。

「何か…帰ってきた時から様子がおかしいから」

「別に、何にもねーし」

いや、本当はあった…けど、言いたくないだけである。

「やっぱり、あったんじゃん」

…あきらめろよ。

ないって言った時点で、あきらめろよ。

弥生のしつこさを別のところに行かせれないだろうかと、俺はそんなことを思ったあ。

「聞かれちゃ困るようなことなの?」

何にも言えない。

「そんな訳じゃねーけど…」

訳じゃないから、何なのだろうか?