そして、このことを言えない思った。

弥生は杉里さんが好き…でも、杉里さんは美波さんが好きだ。

こんなの、絶対に言えない。

拷問にかけられたとしても、死んだとしても、絶対に言えない。

嫌な秘密だ。

デカかった入道雲が少し小さくなったように見えたのは、俺の気のせいかも知れない。


「ちょっとハデじゃない?」

「いいのよ、これくらいハデな方が杉里さんも興味をひくから」

弥生と美波さんのやりとりを右から左に受け流しながら、俺は物干し場に座っていた。

今日の月は半月か。

すいかを4分の1に切ったような月を見あげながら、俺はそんなことを思った。

すいか食べたいな…って、思うところが違くねーか?

そりゃ、すいかを食べたいなとは思うけど。