成熟と化して


「そんな引っかけに引っ掛かるか!!!」

男はナイフを前に移動させる

しかし、その行動は、あっけない音が響いたと同時に、幕切れとなった。

ポカン

寝ていたはずの矢渕が男の頭を棒で叩いたのだ。

男は地面に倒れる。

「助かったよ」

間抜けな声で、矢渕に言う紙田。

「…こいつか?」

「うん」

矢渕は暫く男を無言で見て、それから男の手に手錠をかけた

矢渕は警察官だったのだ。

「ご協力ありがとうございました」

無表情のままそう言うと、男を引きずるようにどこかに連れていった。

暫くして、パトカーのサイレンが響き、遠退いた。


それが鳴る頃には、駐輪場には誰もいなく、臭いカプセルと、臭い数台の自転車と、ナイフがあっただけだった。


そして、平成@年@月@日第@回文化祭も、まもなくして終了した。