「もしものときのため、風紀委員には借りをつくっとかなきゃな」
―あ、だからあの友達は盛り上げ部がどうとか言ったのか
―多分、風紀委員は紙田がこう考えるだろうと思って。
―借りを作らせたふりをして、噛みつく気だな。
と、こんな考えは紙田には言えず、黙って従うことにした。
しかし、風紀委員、佐藤の予想以上に、紙田が暴走するとは、こなとき誰も知る由もなかった。
※
文化祭当日。
カップルが出来やすい行事として、嫌う人もいるなか、開催された。
紙田たちは、ビニール袋、うん〇バサミ、軍手を持たされた。
格好の通り、紙田らはゴミ拾いの当番だ。
ちなみに風紀委員は、午前部と午後部で分かれているが、盛り上げ部は一日中だった。
―絶対俺巻き込まれてるよ
死んだ目で佐藤が思ったが、紙田の暴走を止めない佐藤にも少し非がある。
だから風紀委員も佐藤を巻き込ませたのだろう
「えっとー」
佐藤とは裏腹に、紙田は呑気な声を発している
「こういうの偽善活動って言うんだよな?」
「もーそれでいいですよ」
やけくそに応える佐藤。
「よっしゃ!!ゴミ拾いだ!!」
紙田は駆け足で校門から出ていき、どこかへ行ってしまった。
佐藤は追いかけようともせず、ただボーッとお店の方を見ていた。
―はぁ…。どうして俺がこんな目に…
―そうだ!!やってるふりして、お店回ろう
盛り上げ部の当番場所は学校の周りだったが、別に校内をやっても怒られるわけないだろうと、佐藤にしては安易な考えだった


