成熟と化して


「もしものときのため、風紀委員には借りをつくっとかなきゃな」

―あ、だからあの友達は盛り上げ部がどうとか言ったのか
―多分、風紀委員は紙田がこう考えるだろうと思って。
―借りを作らせたふりをして、噛みつく気だな。

と、こんな考えは紙田には言えず、黙って従うことにした。


しかし、風紀委員、佐藤の予想以上に、紙田が暴走するとは、こなとき誰も知る由もなかった。




文化祭当日。

カップルが出来やすい行事として、嫌う人もいるなか、開催された。

紙田たちは、ビニール袋、うん〇バサミ、軍手を持たされた。

格好の通り、紙田らはゴミ拾いの当番だ。

ちなみに風紀委員は、午前部と午後部で分かれているが、盛り上げ部は一日中だった。

―絶対俺巻き込まれてるよ

死んだ目で佐藤が思ったが、紙田の暴走を止めない佐藤にも少し非がある。
だから風紀委員も佐藤を巻き込ませたのだろう

「えっとー」

佐藤とは裏腹に、紙田は呑気な声を発している

「こういうの偽善活動って言うんだよな?」

「もーそれでいいですよ」

やけくそに応える佐藤。

「よっしゃ!!ゴミ拾いだ!!」

紙田は駆け足で校門から出ていき、どこかへ行ってしまった。

佐藤は追いかけようともせず、ただボーッとお店の方を見ていた。

―はぁ…。どうして俺がこんな目に…
―そうだ!!やってるふりして、お店回ろう


盛り上げ部の当番場所は学校の周りだったが、別に校内をやっても怒られるわけないだろうと、佐藤にしては安易な考えだった