成熟と化して




佐藤と紙田とは違い、真菜とアンドロイド紙田たちは、穏やかなデートをしていた。

「今日はいい天気ですね」

「ソウダネ」

ちなみにアンドロイド紙田は、自分で人間の言葉を認識し、自分で考え、自分で言葉を選ぶので、会話が成立するのだ。

造った紙田ってすごい人だね。

「海は行くのが始めてなので…なんだかワクワクします」

「ボクモハジメテダヨ」

アンドロイド紙田は、海をみたことがないので、嘘ではない。
紙田はあるが。

「そうなんですか?」

「アア、ソウダヨ」


シーン。ここで会話が途切れる。

この光景を遠くで見ている紙田は

「くそっ。ウブすぎたか!!」

と、叫んでいた

「バカだろ。あんた」

隣で佐藤が冷たい視線をおくっていた。




「あんまり…喋らないんですね」

「スコシキンチョウシテルダヨ」

「なら仕方ないですね」

「アア。シカタナイ」
と、なんやかんやあり、海に着いた二人は、特に何をするわけでもなく、ボーッと海を眺めていた

「おい!!ここでキスするんだ」

と、紙田はアンドロイド紙田に言うが、小声なので聞こえず(聞こえたら真菜にバレるが)

「真菜さんのファーストキスが、アンドロイドでいいんですか?」

佐藤のこの一言で、紙田はハッとし、

「おい、キスするな!!したらぶっ殺す」

と、さっきとは逆のことを言う





ボーッとしているだけだが、真菜はとても楽しそうな顔をしていた。

外に出られるだけでも、真菜は嬉しいのだろう

「スコシ、ノドガカワイタネ」

「はい」

「ナニカカッテクルヨ」

夏場は海水浴場なので、自動販売機は近くにあった。

その自動販売機に行き、アンドロイド紙田はジュースを買おうとする

が…

アンドロイド紙田は、金を持っていなかった