成熟と化して




そしていよいよ、デート…いや、盛り上げ部の活動日だった。

連絡がきて、集合場所は、紙田の家から電車で一駅分ある、小さな公園だった。

「佐藤は、がんばれ」

「先輩もね」

佐藤と別れを告げたあと、約束の公園へと向かう。

約束の時間の30分前

「……さすがにいないによな」

念のため早く行ったらこの結果だ。


―うぅ…何話そう

手の平は塩が出来るんじゃないかというほど、汗でびっしょりだった。

―やば…緊張してきた。やばい。緊張しすぎて、うん〇したくなってきた…

辺りはまだひとっこ一人いない、寂しい感じが漂っていた

それが紙田の緊張を倍増している。

「ちょっとトイレ!!」

溜まりかねて、トイレに駆け込む紙田。



そんな姿を遠くで見ている佐藤。
佐藤は、計画を実践するためにいるのだ。

―あれ、先輩、トイレか?

数分経ったあと紙田がトイレから出てきた

―あ…でてき…ん?

佐藤は紙田の異変に気づく

―あれ?なんか歩き方おかしい。
―歩き方がガチンガチンで、まるでロボット…

そこまで考えがいったとき、佐藤は確信した

―あれ、先輩に似せたアンドロイドだ。

恐らく、紙田が緊張したとき用に造ったのだろう。それにしてもよく似ている。

「ボクハ、カミタ」

カタコトだったが。

「先輩、何してるんですか!!」

約束の時間までまだあるので、慌てて紙田の元に駆け寄る佐藤

「先輩!!」

「オヤ、サトウ。ドウシタノカネ?」

「あんたじゃねーわ!!本物の紙田出せや!!」

「センパイニムカッテナンダソノクチノカカカタハ」

「アンドロイドの後輩なんかに、なった覚えはありません」

「キヲオトスナ。キミハマダイケルサ。ダッテキミハ…」

「長文喋るな!!!それに会話噛み合ってないし!!」