成熟と化して


「盛り上げ部のですよ。最近活動してなかったし、そろそろしませんか?廃部になりますよ」

「そうだな…」

全く部活のことが頭になかった紙田は、ろくに調べもしていなかったので、誰が適してるかわからなかった。

するとふと真菜の顔が浮かんだ。


―いや、何で真菜なんだよ……

と、打ち消そうとしたが、あることに気付いた。

―そういやあいつと出会ったとき、とてもつまらなそうな顔をしたな。

―あいつにするか?―いやでも、俺の私情に佐藤を巻き込ますわけにはいかないよな。
あ、いつも巻き込んでるか

「先輩…?」

固まってる紙田に溜まりかね、佐藤が怪訝そうな顔で言う

「ああ、ごめん。んっとね…」

「先輩?」

「いないな…なんか今する気分じゃねーんだよ」

これはあながち嘘ではなかったが、佐藤は単なる紙田が飽きただけだと思ったのか

「あなたの気分で決めないでくださいよ!!」

「すまん…」

いつもの紙田と気付いたのか、ようやく佐藤が紙田がおかしいと気付いた。

「先輩」

「ん?」

「変な物でも食べました?」

考えた方向がおかしかったが。


「あのさ…」

今度は紙田から問いかける

「はい?」

「会わせたい奴が



―――…………





「ん…?」

紙田は、部室のソファの上にいた。
どうやらいつの間にか寝てしまった

「先輩、真菜さんのデート、どうしますか?」

若干、過去のはなしが長いと思いながら、起きた佐藤が聞く

「デートじゃねーよ!!」

と赤面で否定する。

「とりあえず、あいつはあまり動いたらダメだからな…」

うーんと、いつも以上に真剣かつ慎重に考える

―マジで好きなんだ…

佐藤は少し驚いたあと

「車椅子使えば?」

「車椅子か…」

「ダメですか?」

「いや、いいと思う」

「じゃあ、公園でデートってことで」

「だからデートじゃねぇ!!!」

佐藤はハイハイと応えると、紙に書き始める

標的→紙田。

と。