成熟と化して


「…いいんです。もう」

をうつ向きながら、悲しいそうな顔で呟く

「私は、こうなる運命だったんです」

「何いって!!」

「わかるんです。心臓の鼓動がだんだん弱くなってきてること」

「……え?」

「もう、歩くことさえ困難なんです。私」

「そ…んな……」

「だから、もういいんです」

何か、励ますことがないかと足りない頭で考える紙田だったが、やはり何も浮かばなかった。

「……」

そんな様子を察してか、微笑を浮かべながら真菜が言う

「私なら大丈夫です。入院してるときから、覚悟はしていましたから」

その言葉は、虚しく病室に響くだけだった。
「紙田さん…?」

返事がない紙田を心配したような顔で見る真菜。
紙田も弱々しい笑顔で応える

少し安心した顔になり、何かを言おうとした。

だが

「ゴホッゴホッ」

真菜は激しく咳き込んだ

「おい、大丈夫…!!」

シーツには、真っ赤な血の斑点がついたことに気付いた

そしてそのまま、紙田に抱き抱えられるように倒れる

「おい!!!真菜!!!」

急いでナースコールを押し、看護師たちを呼ぶ。

紙田はただ、バタバタと看護師たちが来ることを見ることしか出来なかった。

―俺は、何で非力なんだ…!!

「か…紙田さん…」

いつもよりか細い声で紙田の声を呼ぶ。
真菜はそのまま、手術室に運ばれていった