成熟と化して


「あのさ、あともうすぐしたら学校で部対抗競技会っていう競技があるんだよ」

「部対抗競技会…ですか?」

「うん。絶対優勝して、賞品土産に見舞いに来るからな!!!だから…さ、そんな悲しい顔するなよ」

真菜は大きく目を見開かす。
そして、さっきとは違う笑顔で、心の底からの笑顔を、紙田にみせる

「優勝しなかったら、許しませんから」

いじわるの言葉と共に



そしてその後、前々回の話の通り、紙田は必死にうん〇型ロボットを造り、準優勝になった。


賞品は貰えなかったが、うん〇型ロボットの作る段階の話を、真菜に話た。

真菜は笑顔で聞いていた。

それが、堪らなくうれしかった。



そんな幸福な日々も、医者の余命宣告により砕かれた

「私、あと一週間だそうです」

平然と言う真菜。
それとは対照的に、表面上にやけた面をしていた紙田だったが、内心では荒れていた

―何で、何で真菜なんだよ

ドラマでよく聞く言葉だったが、まさか自分が思うとは、夢にも思っていなかった

「え…嘘…だろ?」

「本当です。だから病室にはもう来ないで下さい」

「なんでそうなるんだよ!!」

「私の死ぬ姿、紙田さんには見せたくないんです」

死ぬことが怖くないのかと思うほど、しっかりした口調だった。

「フフフ」

と、口元を緩ませ

「甘いぞ。ショートケーキ100個分より甘いぞ。真菜」

「え?」

紙田の言葉に怪訝そうな顔をする

「おまえは一週間で死ぬわけない」

「でも医者が…」

「それは嘘だ!!」

―諦めさせない

「おまえは、いつも笑っている。言うだろ?笑う門には福来るって。おまえに神様が幸福を与える=死なないってことだ!!!」

支離滅裂だったが、紙田は一所懸命、真菜を、自分を諦めさせないようにした。

―生きることを諦めたら、ダメだ

―真菜を死なせない!!

そんな気持ちが、心の中で混ざり、溶けた