それからというもの、紙田は一日のほとんどを真菜の病室にいた。
何回か来る紙田の友達が、ひやかしたが特に気にしなかった。
全ては、真菜を寂しがらせないため。
そして、気付いた。
自分が真菜を好きになっていることを。
真菜は多分、紙田が好意を寄せてることに気づいていないだろう。
単なる自分を何かと気にかけてくれている人、しか思っていない。
それを紙田も分かっていたが、それでもいいと思った。
「なあ、真菜。本当に俺なんかといて楽しいか?」
「え?楽しいですけど」
「よかった」
フッと笑い、真菜の頭を撫でた。
紙田は始めて真菜に触れたことを知った。
真菜は照れ笑いをし、少し頬を赤くして俯く。
―かわいい
最初のかわいいとは違う、また別の感情だった。
―胸が熱い。
もっと、真菜に触れたい
―…いつか、俺は真菜を泣かせるようなことをするかもしれない。
そんな感情が生まれ始めた。


