「もしかしたら、幽霊がいるのかもしれません」
冗談を言ってる雰囲気ではない。そもそも冗談を言える状態でもなかった。
「怖いんです。人がいるときはいいんです。でも……一人になると、あの狭い、殺伐とした環境にいると、急に…急に…」
そこで言葉は途切れた。
真菜が倒れたからだ。
紙田は慌てて看護師を呼びに行き、大事には至らなかった。
※
次の日
紙田は真菜の病室に行った。
ノックをすると、中からか細い声で「どうぞ」と言う声が聞こえた。
ドアを開くと、寂しそうな顔で、窓を眺めている真菜の姿があった。
「あ、紙田さん。昨日は失礼しました」
紙田の方を向き、微笑を浮かべながら真菜は謝った
「気にしなくていいよ」
そう言ったあと、ベッドの近くにあったイスに座り、
「これ、プレゼント」
紙田の晩作った、小型のロボットを真菜に見せた。機材はどこから調達したのかは内緒だが
「上手いだろ?手作りなんだ」
「はい。とても」
先ほどと変わらない、微笑を浮かべていた。
「俺さ、ロボットとか作るの好きなんだ」
敢えて爆弾は言わなかった紙田。
「簡単なのでいいから、教えてやるよ」
言い方は上から目線だし、真菜が特にロボットに興味を持ってるわけでもなかった。
でも、これは昨日の晩紙田なりに考えた、真菜を一人にさせない方法だった。
「ありがとうございます」
ロボットを見つめながら、真菜は言った。


