次の日。紙田たちは、どんな風に真菜を楽しませるかを考えていた。
かれこれ2時間目。

「好み?さあ、真菜は何でも笑うからな」

と、あれだけ思っているのに、あまり知らなかった紙田。

「てか、退院してるのは何日間なんだろーな?」

「それくらいちゃんと聞いてきて下さいよ」
「あはは」

―笑い事じゃないからね

「ま、俺に任せろ佐藤。何とかしてみるよ」

「爆弾とかはダメですよ?絶対」

「爆笑はいいだろ?」

「何?何かのギャグのつもり?」

「違うしー」

前日とは違い、紙田はのほほんとしていた。普通に下品なことも言うし、いかがわしい本は相変わらず読んでいる。

佐藤はその様子に安堵していた。が、実際の紙田の心は既に限界が来ていた

 好きな人が死ぬ恐怖。
 もう逢えなくなるかもしれない寂しさ
等が、紙田の心を潜み、侵していくのを、紙田は感じた。


―ああ、あいつは俺にとって全てなのかもしれない