「おっ!!いただきまーす」
「どーも」
それぞれ真菜にお礼を言ったあと、一個ずつ箱から取る。
相変わらず、笑顔で
「どうですか?」
「うまい、うまい」
そう言って、親指をたてる紙田
「あ、紙田さん。私明後日、退院するんです」
「えっ!!マジで?」
「はい、でも…」
悲しそう目をして俯き
「別に病気が治ったからじゃないんです。ただ…」
「なに辛気くさい顔してんだよ」
紙田は優しく真菜の頭を撫でる
「そんなんじゃ、いつまで経っても治らないぞ」
「か、紙田さん、私はっ―」
「じゃあ、もう帰るから、明日、また来るから」
紙田はウインクしたあと、病室を出る。
佐藤は真菜に一礼したあと、紙田についていった
※
「どういうことですか?」
真菜と紙田のやりとりがいまいちピンとこなかったので、たまらず紙田に質問した。
「あいつ、あと数日の命なんだ」
どこか遠くを見ている目で、普段は見せない淡々とした口調で説明する紙田。
「医師の宣告だと、後一週間らしい」
「……」
紙田は下を見つめながら、
「真菜さ、最近寂しそうな顔をするんだよ。
だから、何とかしてあいつを楽しませたいんだ。…延命は出来ないかもしれない…でも、あいつを楽しませることなら、俺にだって出きると思うんだ…」
佐藤の方を見、今までにない真剣な顔つきになった
「それしか、俺は出来ないから」
そう言う紙田の瞳は、真っ直ぐ、何事にも屈しない、そんな瞳をしていた。


