「おっ!!いただきまーす」

「どーも」

それぞれ真菜にお礼を言ったあと、一個ずつ箱から取る。

相変わらず、笑顔で

「どうですか?」

「うまい、うまい」

そう言って、親指をたてる紙田

「あ、紙田さん。私明後日、退院するんです」

「えっ!!マジで?」

「はい、でも…」

悲しそう目をして俯き

「別に病気が治ったからじゃないんです。ただ…」

「なに辛気くさい顔してんだよ」

紙田は優しく真菜の頭を撫でる

「そんなんじゃ、いつまで経っても治らないぞ」

「か、紙田さん、私はっ―」


「じゃあ、もう帰るから、明日、また来るから」

紙田はウインクしたあと、病室を出る。
佐藤は真菜に一礼したあと、紙田についていった




「どういうことですか?」

真菜と紙田のやりとりがいまいちピンとこなかったので、たまらず紙田に質問した。

「あいつ、あと数日の命なんだ」

どこか遠くを見ている目で、普段は見せない淡々とした口調で説明する紙田。

「医師の宣告だと、後一週間らしい」

「……」

紙田は下を見つめながら、

「真菜さ、最近寂しそうな顔をするんだよ。
だから、何とかしてあいつを楽しませたいんだ。…延命は出来ないかもしれない…でも、あいつを楽しませることなら、俺にだって出きると思うんだ…」

佐藤の方を見、今までにない真剣な顔つきになった

「それしか、俺は出来ないから」

そう言う紙田の瞳は、真っ直ぐ、何事にも屈しない、そんな瞳をしていた。