部活も終わり、外も薄暗くなったので、紙田は、帰ろうとする佐藤を呼び止めた

「―ということで、俺の知り合いの真菜がお前に会いたがってるんだ」

佐藤は少し考えた後

「…まあいいですよ」

「サンキュー!!」




ということで、二人は真菜の病室に行った。
―コンコン

「どうぞ」

「失礼しまーす」

チャラい感じで紙田が言い入り、その後ろから佐藤も付いて入る

「紙田さん、久しぶりですね。元気にしてました?」

真菜は柔和な笑顔を作った

「おお、元気元気」

「それはよかったです。…そちらの方は?」

「ああ、佐藤だよ、真菜ちゃんが会いたがってた」

「ああ、はじめまして」

丁寧に頭を下げる真菜。

―今どき、こんな子もいるんだな

と、おじさん臭い感動をしながら頭を下げる。

「かわいいだろ?」

自慢気に紙田が言う。
佐藤は真菜の顔をじっと見た。

―確かに。顔は悪くない。
どこかしら、クッキング部のあの子に似ている。

あの子というのは、部活対抗競総会のとき、クッキング部の小さな争いのとき、紙田が「かわいい」と言った子だ

―ふーん、ああいう顔がタイプなんだ

「そういえば」

真菜がおもむろにベッドの横においてあった棚から、包装紙で包まれた箱を出した

「昼頃、おじ様が持ってきてくれたの。よかったらみんなで食べませんか?」

「どれどれ?」

と、遠慮なく包装紙を乱暴に破き、箱には"回転焼き"と書かれていた。