「誰だ」

後ろから声が聞こえた。紙田にとってはおまえの方こそ誰だ、と言いたい。

紙田が後ろを振り返る。

「なんだ、紙田か」

元風紀委員長の龍神が、スーツ姿で立っていた。

「なんだ、龍神くんか」

「気安く呼ぶな。アホ」


少し寂しかった紙田は、龍神の登場に少し喜んでいた。


「で、何?何でここに?」


「いや、なんとなく」

龍神は、紙田の胸についている、『卒業おめでとう』というバッジを見てか

「今日は卒業式か」


と聞いた。

「大抵今日が卒業式ですよ」


「…たしかに」