ストーカー上田がいた。
「おめーかよ!!」
怒る紙田を無視し、上田は、手紙を紙田に渡した。
「これ、佐藤くんから」
「…佐藤が?」
「はい、じゃあ僕はこれで」
上田は帰っていった。
手紙を両手に持ったまま立ち尽くす紙田。
封を切るのを少しためらっていた。
―何か、怖いこと書いてそう
―ま、佐藤を信じるか
思い切って封を切った。
『1000円返せ』
とだけ書いてあった。
「………」
―ああ、あのときだ。
―コンビニ行ったとき、漫画買うために借りたんだ
なるほど、と納得したあと、財布の中身を確認する。
ちょうど千円がある。
―よっしゃ。
しかし、困ったこともあった。
「住所知らねーし」
―電話で言うか
プルルルルと何回か鳴り、佐藤は電話に出た。
「あ、佐藤?」
『ただいま、電話に出ることができません』
恥ずかしいパターンだ。
「………」
ブチっと切ったあと、また掛け直す。


