紙田は目から零れそうになった涙を何とか抑え、家に帰っていった。




「先輩、卒業式言った方がいいですか?面倒くさいんですけど」


全く尊敬が籠っていない、後輩の声で、紙田は我にかえる


「あ…ああ」

「?」

少し様子が変な紙田を怪訝そうな顔で見る佐藤。

「どうしたんですか?」

「いや、別に」

紙田は、ははは、と苦笑いしたあと、ソファから立ち上がり、紙に『触るな』と書かれたのを貼っている、棚の前に行った。

中には何冊かのいかがわしい子どもの教育に悪いよ本があった。

佐藤は一度もこの本について聞いてこないことからどうやら紙田のだと思ってたらしい。
あるいは、触るなと書いてあったので、見てないだけかもしれない。


「な、佐藤」

「はい?」


「盛り上げ部なんて、クソもへったくれもねー部活、誰も入らないだろ」

「たしかに」


「入るとしたら、相当の変わり者だ。お前みたいにな」


「いや、俺は先生に無理矢理…」

「無視だ」

「……」

「でもな、一人でもちゃんとみんなを盛り上げ、部活をするんだぞ」

「誰かの受け入りですか?」

「ああ。部活なんて、社会人になったらないしな」


「22へぇ獲得」

「うわっ!!なつかしーな」