しかし、上野は肝心なことを忘れていた。
ここは二階だということを。

―どうしよう…

ドアは既に穴が開いていた。ただ、人が通れる程の穴ではないということが不幸中の幸いだった。

―ヤバい。殺される、嫌だ。死にたくない

「あ…」

上野はあることに気付いた。
窓から少し遠かったがあった。

―何で気づかなかったんだろ…

「よし…」

そう言って、手を伸ばすが、木に届かない。
その間にも、着々とドアは壊れていく

「あと、もうちょい…」

必死に手を伸ばすが、やはり届かない。

「無理だ」

諦めた瞬間、木が風に揺れてか、太い枝の部分が近づいてきた。

「お、ラッキー」

枝に掴まり、何とかトイレから出れた

その瞬間

バーンッ

トイレで爆発が起きた

「……」

呆然と見つめる上野。
「な、なんで?」

ドアがなかなか壊れないから、嫌気がさし、爆弾を使ったのか

と、すぐにこの考えは打ち消した

いくらなんでも、爆弾は使わないだろう

と常識的な考えにいきついた結果だった