成熟と化して


「佐藤くん?」

何故かトイレに上野が来た
佐藤は若干身震いしながら、作り笑顔満開で、上野の方へいく

「何?どーしたの?トイレ?」

優しい言い方だったが、内心は「早く向こうに行け」と怒鳴っていた

上野は笑顔で

「佐藤くんが遅かったから…どーしたのかな?って思って」

―いや、知らねーよ

「おまえさ…」

何故か紙田が話に割り込んできた

「何ですか?」

「楽しいか?学校」

「?」

上野は何だこの人みたいな目付きで紙田を見ていた

「ま、一応」

「そっか。ならいいや」

そう言って、鼻歌を歌いながら、スキップしてトイレから出た

「…」

佐藤は紙田が言った方向を見ていた
だが、それはすぐに制された
上野に腕を捕まれたからだ

「!…何…?」

怪しげな雰囲気を上野は包んでいた

「俺さ…ずっと憧れてたんだ…佐藤くんに」

「……」

「ずっと話したいと思ってた。ずっと、ずっと」

「…な、何で?」

―もしかして俺、とんでもない奴に話しかけたんじゃないか?

「だって、運動神経いいし、顔だって…。そんな人と話したいと思うでしょ?」

そう言って上野は腕を手に力を込めた

「なのに」

急に声が低くなった。
「なのに、橘なんか、好きなんて言うだもの。君も結局は普通の人間だったんだね」


「それに、嘘もつくし」

「…!!」

「盛り上げ部に入ってるのに、何で帰宅部って言ったの?」

「……」

「ねえ?」