標的にしたのは、かつおだった。

「誰だよ、かつおって」

「磯野さんのお宅の息子だよ」

「あの子は自分でもう盛り上がってるから大丈夫です」

「姉によく追いかけられてるもんな、じゃあワカメ」

「やめなさい。この学校の人にしましょう」

「んじゃあ、あいつでいいか」

紙田は窓の外にいる一人の少女を指差した。男子と正面で向き合っており、頬は赤く染めていた

「今あの子、告白してるんじゃないですか?」

「よっしゃ!!ふられろ!!」

「最低だな!!!」

「だって振られたら陰になるだろ?」

「…うん、あの子はやめましょう、次です」

「いちいちうるさいな」

と、文句を言う紙田を無視して話を続ける。

「ここじゃ何だから、部室の外で、それなりの人見つけません?」

「…はいはい、どーせ俺はモテませんよー」

「先輩はモテますよ」
―(子どもに)


まぁ二人は出たわけであった。
学校の中を歩き回り、それなりの人を捜した。

「あいつは?」

紙田が指差した先には、窓を見つめる一人の野球部員がいた。
ちなみに、ユニフォームを着てたからわかったのだ。

「宮崎、なにしてんの?」

紙田が野球部員に近づいていく。

名前を言ってることから、同じクラス、もしくは一緒の学年らしい

「紙田か」

紙田を一瞥したあと、あからさまにがっかりしたように、また窓を見る。

「何だよ、好きな子に振られたことまだ引きずってるのか?」

「な、何でわかったんだ!!」