「ち、違う佐藤だよ」

「でもみんな君のことを指を差して言ってたよ」

―誰だそいつ。ぶっ潰す。

と、言葉は悪いが、そこまで怒っていないので、冷静に考えることが出来た

―これ以上、渋ると疑問に思うだろうな…ってもう疑問に思ってるかもしれないけど…

「わかった。俺、テニス部に入るよ」

「本当!!!」

―あんな噂流れているから、上野くんは俺の名前知ってたのか

と今さら納得した。

「じゃあ、明日からよろしくね」

「うん」

幸い、一年なので入りやすい。

―4月じゃないから気まずいけどね…

そう思った瞬間、携帯が揺れた。誰かから電話が来たらしい

画面には『紙田バカ』と表示されていた

「誰かから電話が来たみたいだから…また明日ね」

上野と別れたあと、佐藤は電話に出た

「もしも―」

「遅いっ!!ワンコール以内に出ろと言ったはずだ!!」

「普通に考えて無理でしょ。それに俺、マナーモードなので、着信音なりません」

「それなら仕方ない」

紙田は何かに納得したように声音になった

「で?何の用ですか?」

―大方、さっきの文句とかだろう…

「いや、特に用はない」

「は?」

「いや、全国の俺のファンが―」

「あなたにファンなんかいません」

紙田が言ってる途中で、佐藤は口を挟んだ

「いるはずだ!!悲しんでるに違いない!!」