「さっちゃん、お待たせ。」 突然、聞こえてきた声にハッとして顔を上げると、朔矢君の笑顔が降ってきた。 まるで王子様のようなキラキラな笑顔に、燻っていたイライラも消えてしまう。 私が、この笑顔を目の前で見られるなんて、畏れ多いくらいだなぁ…。 朔矢君に笑顔を返しながら、カバンを手にして立ち上がった。 「図書室、行こっか。」 「う、うん…。」 若干……というよりも、かなり緊張しながら返事をした後、朔矢君と一緒に教室を出た。