「私、帰る。九条君と居ても時間の無駄だから。」 淡々と帰り支度を進める間も、何一つ言葉はない。 チラッと見ると、顔を俯けていて表情は読みとれない状態だった。 よく分からない人…。 首を傾げながら、ガタッと席から立ち上がった。 「戸締まりだけは、ちゃんとして帰ってよね。」 そう言って帰ろうと歩き始めた私に、フッと笑う声が聞こえた。 「上等じゃん?」