朔矢君は私を見ると、ニッコリ笑った。 「良かった…、ここに居てくれて…。」 安堵の声をこぼしながら、私の傍までやって来ると、自習室をグルリと見回した。 「…あれ?九条は?確か、教室出る時は一緒だったよね?」 「あ…あの…、急用が出来たみたいで帰ったよ…。」 「そっか…。」 朔矢君は、それだけ言うと私の隣の席に座った。 「朝は、あれだけ強い視線で俺を牽制しておきながら、さっちゃんを1人にしちゃうんだね…九条は。」 テーブルにのせていた私の手を朔矢君はギュッと握った。