ガバッと勢いよく顔を上げた私は、窓の外に視線を向けた。 私1人だけになったんだから、これほど勉強に集中出来る環境はないっていうのに… 頭の中が九条君でいっぱいで、勉強しよう…って思いが完全に失せちゃった…。 心のドキドキが静まらないまま、しばらくボンヤリしていると、自習室の扉が開く音が響いた。 誰? まさか…九条君じゃないよね…? 視線をゆっくりと窓から自習室の入り口へと動かしていくと、中に入って来た人に目を大きく見開いてしまった。 「あっ…朔矢君…。」