会話を終えた九条君は私の方を見ると、両手を自分の顔の前でパンッと合わせた。 「ごめん、紗智。俺…急用が出来たから、今日はこれで帰るよ…。」 「う、うん…。」 「それじゃあ、また明日な。」 九条君は、何がなんだか分からずにいる私の髪を手で掬うと、キスを落とした。 「きゃっ…!」 仰け反るようにビックリしてしまった私を、九条君は微笑ましそうに見つめた後、手を振りながら自習室を飛び出して行った。