「1人で先に行こうとするなよ。また何かあったら大変だろ?俺も一緒に教室に戻る。」


隣に並んで歩こうとする九条君に、私はブンブンと首を左右に振った。


「なっ…何もないってば!もう大丈夫だよ。」


「そんなの分からねぇじゃん…。今度は、同じようなことがないように俺が守るから。」


優しい笑顔にドキッと心臓を跳ね上がらせていると、九条君がスッと手を差し出した。


「どっ…どうしたの?」


「手、繋ごうかと思って。」


九条君は笑顔を絶やさずにサラリと言った。