「ひゃっ…!」 突然、唇に触れられて目尻が熱くなっていく。 九条君は、もう片方の目尻にも同じようにキスをすると、眼鏡をゆっくりと掛け直した。 ぼんやりしていた視界がくっきりして、九条君の端正な顔が再び映る。 「あっ……えっと…」 視線が重なりアタフタし始める私。 それを見ていた九条君は表情を柔らかくして笑顔を見せた。 「そういう顔も可愛い。」 もう一度、九条君は私を胸の中へと抱き寄せると、耳元に顔を近付けた。 「……早く紗智を手に入れたいな…。」