「紗智…ごめんな。」 九条君は私の傍に歩いて来ると、片手を背中に回して胸の中へと引き寄せた。 「く、九条君!?私は大丈夫だから…、あの……謝らないで?」 「大丈夫じゃねぇだろ?すごく不快な気持ちにさせちまったんだから…。」 空いている手を後頭部に回してギュッと抱き締める九条君。 優しい体温に包まれた私は、心までジワリと温かくなっていくのを感じた。