「………っ…」 春石先輩は唇をキュッと噛みしめる。 そして、私の方に睨みつけるような視線を向けたかと思うと、一瞬にして逸らしてしまった。 「……ご、ごめんなさい…。」 春石先輩は、かろうじて聞き取れるくらいの小さな声で呟く。 すると、九条君に掴まれていた腕を力いっぱい揺らして振りほどくと、プイッと背を向けて、教室を出て行ってしまった。