パクパクと口を開けて驚いている春石先輩に九条君は言葉を続ける。 「あと…、もう一度言わせてもらいますけど、金曜日のことは間違いじゃありません。紗智と手を繋いでたのは…紛れもなく真実ですから。」 「えっ…!?」 先輩の視線は私に注がれる。 目を見開いている姿は、“信じられない”と訴えているように見えた。 「綺斗くんとその子は、付き合ってるわけでも何でもないんでしょ!?」 「今後はどうなるか分からないですけどね。」 九条君は私の髪を撫でながら、フッと笑った。