ふと顔を上げて、声の聞こえてきた方に視線を向ける。 すると、教室の入り口に立っている九条君の姿が映った。 「あ!綺斗くん。もしかして、私のこと探してた?ごめんね〜。」 今までの不機嫌な表情や威圧的な態度を、一気に消して九条君の傍へと駆け寄っていく春石先輩。 眩しいぐらいの笑顔だ。 すごい変わりっぷりに、もはや感心してしまう。 「春石先輩。都合よく解釈するの止めてくれませんか?」 九条君は冷ややかな視線を先輩に送ると、私の目の前までスタスタ歩いてきた。