「紗智…。」


私の言葉が意外だったのか、九条君はビックリしているみたいだ。


「あっ!えっと…航や結希がきっとそう思ってるんじゃないかな…って。」


次第に照れくさい気持ちが溢れてきた私は、咄嗟に言葉を付け加えてみたものの、既に遅かったようで…


「…どういたしまして。今日、紗智に会えて俺も嬉しかった。」


笑顔を浮かべた九条君は、お母さんが近くにいるにも関わらず、私の頬にキスをして帰って行ってしまった。