「わ、分からないわよ…。別に思い出せないままでも私は構わな……」 「“完全にハマったら最後…、紗智の心も体も…全部俺のものにする”って言ったんだよ…。」 私の声を途中で遮るようにして、九条君が言葉を重ねた。 頭の中には昨日のことが瞬時に浮かぶ。 そういえば、そんな風に言ってたっけ……。 「今日、朔矢と仲良さそうに話す紗智を見て、完全にハマってるって確信を持ったから、もう一度言おうとした…。」 九条君の顔が真剣なものへと変わっていく。 私はまともに顔を見れずに俯いた。