「私の家、ここだから…。じゃあね。お…送ってくれてありがと。」 家の前までやってくると、私はピタッと足を止める。 一応…お礼を言ってみたものの、最後の方は独り言のように小さな声になってしまった。 かなり照れくさいから、あまり言いたくはなかったけど、送ってもらったのは事実だもんね…。 言わないわけにもいかない…。 「どういたしまして。紗智にそう言ってもらえると嬉しい…。」 少し恥ずかしそうに頭を掻きながら、九条君は笑った。