「本当にありがと。今日も丁寧に教えてもらえて嬉しかった…。」 囁くような声にドキッ…と鼓動が大きく波打つ。 お礼…、そんな風に言われると素直に嬉しくなるじゃない…。 悪い気分になんか…、絶対にならないもん…。 「ど、どういたしまして…。」 ボソッと声に出すと、顔がじわじわと熱くなっていくのが分かった。 こんなに照れるなんて…思ってもみなかったよ…。 赤く染まっていく顔を見られないようにと俯きながら、私は目の前に立っている九条君の横をすり抜けて、スタスタと歩き始めた。