「確かに今日は綺麗な三日月だな…。俺は月よりも紗智を見ていたいけど。」 「なっ…何言ってんのよ!」 「だって、それが本心なんだから仕方ねぇだろ?」 ドクンッ…… 九条君の言葉で何故か鼓動がうるさくなっていく。 このままじゃ、後ろの九条君に聞こえてしまいそうだ。 それは…避けたい。 「早く帰りたいんだから、はっ…離れてよ。」 必死に体を捩らせると、九条君は“そんなに暴れるなよ…”と笑い混じりで言いながら、ゆっくりと離れた。