「お待たせ。」 あっという間に窓を締め終えた九条君は、私のところに駆けよってきた。 「ま……待ってたわけじゃないけど…」 俯きながら呟くように小さな声で言うと、その視界に九条君の手が差し出された。 「こ……この手は何?」 「ん?一緒に帰るんだから、繋ごうかと思って。」 手を繋ぐ…? 九条君と…?? パッと顔を上げると、九条君はニコニコしながら私を見ていた。 「繋ぐ必要ないでしょ!?変なこと…言わないで!」 クルッと九条君に背を向けた私は、扉を勢いよく開けて廊下に出た。