「えぇっ!いっ…いいわよ別に。暗くなっても、いつも一人で帰ってるから…。」 大げさなくらい首を横にブンブンと振った。 ただでさえ、今日は九条君の言動に戸惑いや驚きをいつも以上に感じているというのに… これで一緒に帰ったりしたら、更に調子が狂いそうだ。 「紗智がよくても、俺は嫌なんだよ…。もう少し…話もしたいから…。」 「で、でも……帰る方向だって、ちが……」 そこまで言い掛けたところで、九条君の指が私の唇をスッとなぞった。