「それじゃあ、帰るね…。」 慌てて支度を済ませた私は、九条君よりも先に立ち上がった。 スタスタと足早に自習室を出て行こうとすると… 「待てよ、紗智…。」 すぐに九条君が追いかけてきて、私の手首を掴む。 「な…何?」 驚きのあまり、瞬きを繰り返していると、手を引っ張られて九条君の傍に引き寄せられてしまった。 「もう暗くなるし、俺が家まで送る…。」 私の手首を握る力が少し強くなるのを感じた。