「もう忘れたのか?」 「こ、こんな状況で聞かれると、上手く頭が回ってくれないの!」 もどかしさのせいで、声を荒げてしまった。 思考力が極端に鈍る…。 こんな感覚、経験したことないよ…。 「それなら、紗智に対する気持ちが確信を持った今日、あらためて言う…。」 低く響いた声が心を揺らす。 私は無意識のうちに俯けていた顔を上げて、九条君を見ていた。 「俺は……」 九条君の真剣な眼差しに吸い込まれそうになった時… 制服のポケットに入れていた私の携帯電話のバイブが震えた。